オープンキャンパス・一日体験化学教室

 夏といえばオープンキャンパスの季節ということで、ここ東京大学でも8月5日にオープンキャンパスが、8月9日に一日体験化学教室(日本化学会主催、工学部にて実施)が行われました。ふだんなかなか訪れる機会のない研究の現場が公開される貴重な日であり、高校生を中心として多くの来客がここ本郷にやってきました。



化学教室受付。盛況。

 理学部はオープンキャンパスに力を入れており、毎年トップクラスの来客数を記録しています。筆者も各学部を見て回りましたが、確かに理学部は他に比べてもずいぶん熱心に取り組んでいるように思えます。化学教室でも毎年研究室を開放し、訪れる高校生たちに向けて実験の実演や、研究内容の講義を行っています。


西原研。フェロセンの構造を実物。

塩谷研。高校生質問タイム。

橘研。海洋生物の謎に化学で迫る。

 各研究室ともさまざまに工夫していますが、やはり最先端の内容をわかりやすく伝えるというのは非常に大変なことです。「一般への科学の伝え方」というのも、今後の科学者に求められる重要なスキルですので、このあたりはよく考えていかねばならないところかもしれません。



 工学部では一日体験化学教室が開催され、応募してきた高校生が見学にやってきました。まず野崎研究室の山下誠講師の講演を聴いた後、加藤研・尾嶋研・鈴木研などいくつかに分かれて実際の実験を行いました。PCR・レーザー光など、専門の研究者でない限りなかなか目にする機会のないものを直接さわることができる、なかなかないチャンスです。



加藤研。液晶と暮らしの話。

尾嶋研。レーザーの発光を見る。

鈴木研。PCRによるDNAの増幅を実体験。

 高校生たちに話を聞くと、やはり将来は研究者になりたいという人が多数でした。最先端の実験機器に目を輝かす彼らの姿を見て心強く思うと同時に、彼らが研究の道に入る5年後、10年後の科学はいったいどうなっているか、いろいろなことを思った夏の一日でした。