野崎京子教授、名古屋メダル受賞決定

 野崎京子教授(工学系研究科・化学生命工学専攻)が、2009年名古屋メダル(シルバー)を受賞されることが決まりました。名古屋メダルは合成化学者を対象とした賞で、「国際的に偉大な業績を挙げている研究者」に対してゴールドメダルが、「今後の発展が期待されるRising Star」に対してシルバーメダルが贈呈されることになっています。当拠点からは過去に、相田卓三, 中村栄一, 小林修, 藤田誠の四教授がシルバーメダル受賞の栄誉に浴しています。

野崎京子教授

 野崎教授の専門分野は有機合成化学、均一系触媒化学、有機金属化学、高分子合成化学などにまたがり、特に高分子重合触媒の開発で知られます。下図のBINAPHOS-パラジウム触媒は、一酸化炭素とオレフィンを交互に重合させ、キラルなポリマーを作り出します。


不斉重合触媒BINAPHOS

 また野崎教授の開発した下図のコバルト錯体は、エポキシドと二酸化炭素を共重合させ、ポリカーボネート合成を可能とします。厄介者であるCO2を資源に変え、有用な樹脂を作り出す方法として、この研究は注目を浴びました。こうした反応では通常環状カーボネートができやすいのですが、その生成を抑える方法に工夫が凝らされており、学問的にも大変興味深い仕事です。


二酸化炭素から樹脂を作り出すサレン-コバルト錯体

 こうした業績ももちろんですが、研究室のホームページや学生さんの話からは野崎研究室のアットホームな雰囲気が伝わってきて、楽しく研究が行われていることがうかがわれます。
その他、修飾ポリエチレンの合成やホウ素化学、新規π共役系分子合成などでも新しい分野が切り開かれつつあり、野崎研の仕事はいつも見ていて次の論文が楽しみになります。野崎教授の、今後のさらなる活躍を期待したいところです。