1月26日シンポジウム「My Dream as a Professional II」

 先日も予告しました通り、この1月26日に、当GCOE主催のシンポジウム「My Dream as a Professional II」が開催されました。各国からやってきた留学生と、東大の博士課程学生がそれぞれ「プロフェッショナルとしての夢」をテーマに講演・討議を行うというものです。留学生はアメリカ・カナダ・中国・韓国・台湾・インド・ドイツ・ベルギーなどからやってきた多彩な顔ぶれで、それぞれシンポジウムの前後1〜3ヶ月留学して研究を行ってゆきます。
 また海外の若手研究者、企業や国立の研究機関で活躍するOBなども招いて講演をいただき、非常に中身の濃い一日となりました。

 GCOEリーダー、中村栄一教授の挨拶の後、トップで講演を行ったのは山下誠講師(工学系研究科化学生命工学専攻)。研究者になるまでの話ももちろん面白かったのですが、宇宙飛行士を目指している(!)という話がやはりハイライト。第2次選考までゆき、50名の候補にまで残ったのだそうです。次があればまたチャレンジしたいとのことで、史上初の宇宙を翔ぶ有機化学者の誕生を祈りたいところです。


山下先生のメッセージ。あなたの研究人生はいかがですか?

 この後は各国の留学生からの講演。


Valerie Baslonさん(ベルギー出身)の世界征服宣言?いやいや、「化学の巡礼者」になりたいという夢の発表でした。


オーファンドラッグ(希少疾患用医薬)を創り出したいという中村晃史さん。期待大。




流暢な語りで会場をうならせた中村貴志さん。世界一の化学者に俺はなる!




昼過ぎのポスターセッション。化学に国境はないの図。




午後のセッションでは各界で活躍する東大OBの講演が行われました。韓国・浦項工科大学(POSTECH)の河野正規教授は、韓国に行くことになったいきさつ、研究環境や民族性の違いなどを興味深く語っていただきました。経験から来る言葉はやはり重みが違います。




 フランスから来日中の若手研究者Etienne Derat博士からは、ヨーロッパのアカデミックキャリアについて、シビアな話も含めての講演でした。フランスの就職事情など、人ごとではなくみな身を乗り出して聞き入っていました。




 現在三井化学で高分子合成の触媒研究に携わる高宮郁子博士の講演では、企業での博士の位置づけなどが語られた他、会場からは女性化学者のポジションについてなどの質問も飛び、なかなかの盛り上がりとなりました。




 産総研で活躍する中島智彦博士は、5年ごとに区切って人生のプランを立てているとのこと。研究者の人生設計は最近いろいろと語られますが、大いに参考になるお話でした。




 そしてある意味メインイベントともなったのが、留学生・東大生6人が壇上に上がってのパネルディスカッション。「博士の学位を国内で取るのがよいか、海外で取るのがよいか?」をテーマに話し合われましたが、会場を巻き込んでのトークに発展し、企画したこちらの予想を上回る盛り上がりになりました。

 最後のセッションは、再び東大生と留学生による「夢」の講演。




Ma Su Su Khineさん(東大)。一発目の写真のインパクトにしてやられました。山登りにたとえてプロフェッショナル化学者への道を語ってくれました。




Wang Feiさん(北京大学)。太陽電池開発が夢とのこと。世界を救うテーマかもしれません。


 というわけで、シンポジウムは予想以上の盛り上がりのもとに終了。毎度のことながら、みな大したものだと思います。この後留学生たちは各研究室で研究を行い、さらに交流を深めて帰ってゆきます。昨年のシンポジウムに来た留学生がポスドクで再来日しているケースなどもあり、人材交流として非常に意義深いものになっていると思います。

 参加された皆様、取り仕切ってくれた学生委員の皆様、どうもありがとうございました!