第7回ZESTY NETWORKセミナー

 21日、理学部化学本館5階講堂にて、「第7回ZESTY NETWORK(*)セミナー」が行われました。これは昨年度より開始された、ポスドク・若手教員・博士課程学生を対象とした英語による交流セミナーで、2ヶ月1度の割で開催されます。演者は自分の研究成果を20分間ほどで講演し、質疑応答なども全て英語で行い、違うジャンルの聴衆にも伝わるよう話さねばならないので、これはなかなか大変です。この日の講演はドイツ出身のポスドクChristian Budich博士(浜口研究室)と、吾郷友宏助教(川島研究室)の二人でした。
 Budich博士の研究分野はラマン分光による細胞の観察です。レーザーを生きた細胞に当てて得られる微弱な散乱光を観測し、細胞を破壊することなく生命現象を観測しようというものです。この方法によれば、高い解像度で分子レベルの細胞構造を追いかけることができ、極めて有用な手法となりえます。


講演するBudich博士

 吾郷助教の研究は、窒素とホウ素を含んだヘテロ環の合成及びその性質に関してで、置換基次第で蛍光の色が変化するなど興味深い物性を示します。フランス留学の話も交えて流暢に語っておられました。吾郷助教は立ち上げ以来ZESTYの世話役として務めてこられましたが、この日が最後ということで花束贈呈などの粋なサプライズも用意されていました。


フランスでの生活を語る吾郷助教

 終了後はホールに移動し、ポスターセッションへ。ここでは各研究室から5名が発表に立ち、皆で菓子などもつまみながら演者に質問などしつつ、ワイワイと自分の研究やら化学界の今後やらうわさ話やら(?)を語り合うという、なかなか楽しい会です(吾郷助教からも表に出なかった苦労話など聞かせていただきました)。

発表に聞き入る参加者

発表者も有機化学から分子生物学、材料系などバラエティに富み、話す方も聞く方も国際色豊かなので、思わぬ角度から質問も飛んでくるのが面白いところです。違う分野の研究者同士での雑談は、気づかなかった発想や新鮮なネタを仕入れられるよい機会ですので、できれば工学系の参加者が少し増えるとさらによいか、とも思われます。単に他人の講演を聴くだけに終わらないインタラクティブセミナーである点でユニークであり、筆者にとって楽しみの一つになっている企画です。


発表内容についてディスカッション

*ZESTY NETWORK……「Zasshi-kai Exchange Seminar for Top Young Scientists for International Network in Chemistry」の略(いろいろ抜けている気もしますが)。120年の歴史を誇る化学教室雑誌会と、グローバルCOEの協力により開催される、若手研究者間の国際交流促進を目的とした試みです。