全国グローバルCOE140拠点による声明発表

 去る12月3日、13時から東京大学・小柴ホールで、全国グローバルCOE140拠点による声明発表と記者会見が行われました。11月25日の「事業仕分け」において、グローバルCOEへの資金が1/3程度縮減という判定が下されたことを受けてのものです。

 壇上には北海道から九州まで、人文社会から科学まで12拠点のリーダーが並び、議場の方も立ち見も含めてぎっしりになるほどの人の入りで、熱気に包まれました。
1.名古屋大の渡辺リーダーから、全140拠点としての声明(PDFファイル)発表。
2.九州大の君塚リーダーから、GCOE活動の実際例という形で、化学・材料科学系のアピール資料を報告。
3.会場の若手研究者から意見。様々な拠点の学生さん、研究員等の方々から次々に意見が出ました。熱いコメント多数。
4.朝日新聞記者から、敢えて意地悪な質問といって、
 (1)予算が少なくてもランキングがアップしたのだからよいではないか?
 (2)経済全体が悪いとき、先端研究も大事だが、一方で高校に行けない人もいるが。
 (3)若手支援が大事というが、アカデミア志向だけでいいのか?との質問が出ました。

 これに対し壇上からは、
 (1)日本人は夜遅くまで、週末も働くから、予算以上の仕事ができている。ワークライフバランスを考えるといまの状況がおかしい。
 (2)そもそもOECD内で教育学術にかける予算が最低なのが問題。
 (3)企業の研究職のほか、マスコミ等にも進んでいる。博士課程はプロとして一定の報酬を受けるのが世界標準。
といった反論がなされました。

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 韓国は、経済破綻に瀕する中で大学院助成を積極的に行い、国民一人あたり日本の倍以上の金額を投じました。またアメリカのオバマ大統領も、大不況の中で科学予算の大幅増額に踏み切り、大学院生への奨学金支給数を3倍にするという方針を発表しています。いずれも、科学技術こそ回復の切り札であり、人材育成こそが国を救うと考えての判断です。

 グローバルCOEは今も若手育成に着実な成果を挙げており、決して仕分け会議で言われたような「就職し損ねた博士の生活保護」といった種類の資金ではありません。将来を支える優秀な若者が、たくさんここで育っています。人材育成こそは将来に向けた最も確実な投資であり、日本を立て直す最善の手段であると信じます。