夕暮れの東京大学

 日が沈むのがずいぶんと早くなりました。東大のキャンパスには歴史的な建物がたくさんありますが、その美しさが最も際だつのは夕暮れ時ではないかと思っています。

 総合図書館は1928年の竣工といいますから、80年以上を経た建物ということになります。この外観は、棚に並んだ本の背表紙をイメージしたものであるそうです。


総合図書館。中も一見の価値あり。

 こちらから法学部の建物を抜けて、工学部方面に向かいます。このアーケードには柱ごとに彫刻なども飾られ、かつての帝国大学の威風を偲ばせます。


法学部のアーケード

 工学部は重厚なゴシック建築からモダンな建築までが揃い、どのビルもなかなか個性的です。前者の代表は1号館で、表札もいかめしく、森厳たるムードをたたえた建物です。


工学部1号館入り口

 一転して、8号館は未来都市を思わせる入り口が印象的です。こうやっていろいろな建築が揃っているのも、ある意味非常に工学部的なところなのかもしれません。


イルミネーションが輝く8号館入り口

 そして化学系の研究室が主に入る5号館は、耐震補強で入れられたV字鉄骨がなかなか武骨かつサイバーなムードを醸し出しています。工場萌えな方には見応えがあるのではないでしょうか。


実用本位かつ力強い造りの5号館。

 しかし工学部のシンボルといわれるのはどの建物でもなく、中庭にそびえ立つ大イチョウの木なのです。東大のマークはこれに由来するともいわれ、実に風格あるたたずまいです。工学部の象徴が何か人工物ではなく、この巨大なイチョウの木であるというのは一見不思議でもありますが、なんだか実に奥が深いなと思う次第です。どういういきさつがあったのか、調べてみたいものです。

 というわけで、筆者は東大というところは観光地として東京屈指の場所であると思っています。キャンパスへの出入りは自由ですので、近くに来たときには覗いて行かれてはいかがでしょうか。