第16回理学部公開講演会

 東大理学部では、半年に一度公開講演会を行い、ひとつのテーマに基づいて第一線の研究者が一般向けに語るという催しを行っています。次回は来る11月8日、安田講堂にて開催され、当GCOEからは中村栄一教授(理学系研究科・化学専攻)が「百聞は一見に如かず − 顕微鏡で見る有機化学」というテーマで講演を行うことになっています(詳細はこちらを)。

 中村教授は有機合成・理論化学・材料化学など広い範囲で活躍しており、中でもフラーレンカーボンナノチューブの研究では世界を牽引する成果を挙げています。今回の講演では、ナノチューブを活用して1分子の動きを観察するという研究について語られます。

 カーボンナノチューブは炭素でできた中空の筒で、その内部空間に様々な化合物を取り込むことができます。中村研究室では、この中に長い炭素鎖を持った化合物を吸い込ませ、電子顕微鏡で観察することにより、世界で初めて分子の動きをリアルタイムで捉えることに成功しました(ムービーなどはこちら)。


 化学では様々なデータを扱いますが、今までは全て「分子の集まり」を相手にし、統計的にデータを出しているに過ぎませんでした。この手法は、掛け値無しに1分子だけを「見る」ことができるようになったという点で、極めて画期的な研究と評されています。化学分野における電子顕微鏡の活用はますます進んでおり、目が離せない分野です。

 当日は中村教授の他、「南米アタカマ砂漠から探る見えない銀河の誕生」という題目で河野孝太郎教授が、「朝の光と朝ごはん:体内時計の時刻リセット」という題目で深田吉孝教授がそれぞれ講演されます。当日は事前申込み不要、誰でも無料で入れます。なかなかない機会ですので、興味のある方はぜひご来場下さい。