パイオニア・スピリット

この他にも核酸化学の分野で多くの業績を挙げている小宮山教授ですが、意外なことにこの分野に参入したのは40歳を過ぎてからで、しかも当時は研究する人が極めて少なかったということです。未知の分野だけに、自分の研究のオリジナリティはどの程度なのか、どのくらいに評価されるものなのかさえ最初はわからなかったといいます。
小宮山教授が現在のARCUTにたどり着くまでには20年近くを要しているそうで、やはり未踏の分野を切り開くというのはそれだけの苦心を要するようです。「あいつでもできるんだから俺でもできるんだろうと思われたのか、今はずいぶん競争相手も増えました」と笑って語っておられましたが、パイオニアとしての誇りもそこにほの見えた気もします。未知の大海に漕ぎ出してゆく勇気と、ひたすらに対象に取り組む粘り強さ。新しいジャンルを切り開くのに必要なのは、そんな要素であるのかも知れません。

小宮山研究室の他のテーマはまた次回以降に。