研究のこれから

−「今後のイトカワ微粒子の研究はどうなりますか?」
N「今回の分析結果は、あくまで予備調査です。どういう素性を持ったものか、まずは基礎的なデータを取って公開して、来年以降に世界で公募してさらに詳細な研究を行うための布石です」

−「だから今回は3粒しか使えなかったわけですね」
N「ええ。ただこれからも、数年はこの分析の仕事が続くと思います。隕石の希ガス分析を行っている研究室は、今はもうあまり残っていないので、ある意味我々の独壇場ですね。
さらにその後には『はやぶさ2』のプロジェクトが待っています。今度はイトカワでなく、別の小惑星が目標になります。炭素質隕石の元になるような、有機物があるかもしれない小惑星です。順調に行けば2014年打ち上げ、2020年帰還の予定です。打ち上げに向けて、我々も試料採取方法の改良などのテストをおこなっています」

−「すると生命の起源などにも関わってくる話ですね。しかしその時は、しっかりサンプルを取ってきてほしいですね」
N「まあその頃には私は引退ですから、後は誰かに任せて(笑)」

−「すると松田さんの世代の責任になりますね」
M「はい、頑張ります(笑)」

−「どうもありがとうございました」



参考:東京大学プレスリリース
Science誌に掲載された長尾研究室の論文
はやぶさの画像はウィキペディアより