夕暮れの東京大学

日が沈むのがずいぶんと早くなりました。東大のキャンパスには歴史的な建物がたくさんありますが、その美しさが最も際だつのは夕暮れ時ではないかと思っています。 総合図書館は1928年の竣工といいますから、80年以上を経た建物ということになります。この外…

中村栄一教授、紫綬褒章受章

理学系研究科・化学専攻の教授であり、当GCOEのリーダーでもある中村栄一教授が、2009年秋の紫綬褒章を受章されることとなりました。紫綬褒章は「学術、芸術上の発明、改良、創作に関して事績の著しい方」に贈られるもので、当GCOEからは2003年秋の藤嶋昭特…

最近のGCOE

東京大学のロゴマークは、イチョウの葉をデザインしたものです。それだけのことはあって学内にはイチョウの木がたくさん並んでいます。今はギンナンの実がぼろぼろと地面に落ちてまあ少々臭かったりするのですが(^^;、これから美しく黄葉して目を楽しませて…

第16回理学部公開講演会

東大理学部では、半年に一度公開講演会を行い、ひとつのテーマに基づいて第一線の研究者が一般向けに語るという催しを行っています。次回は来る11月8日、安田講堂にて開催され、当GCOEからは中村栄一教授(理学系研究科・化学専攻)が「百聞は一見に如かず −…

池田菊苗教授のグルタミン酸、「技術未来遺産」登録

昆布やかつおぶしの「ダシ」は、日本の食卓には決して欠かせない味です。このうまみ成分がグルタミン酸ナトリウムという化合物であり、調味料として広く普及していることはみなさんご存じのことでしょう。 グルタミン酸ナトリウム 実はこのうまみ成分のルー…

ケージ分子で時間を操る(2) 〜藤田誠研究室〜

ネットワーク状錯体 ということで、前回の続きです。 藤田教授の研究は、こうしたケージ状錯体だけにはとどまりません。こうしたケージが無限に繰り返された構造を持つ、ネットワーク状錯体の研究にも力が注がれています。藤田教授は、実際にはこちらの方を…

ケージ分子で時間を操る(1) 〜藤田誠研究室〜

自己組織化のマジック 全く個人的な感想で申し訳ないのですが、このブログの担当者(佐藤)が「世界で一番美しいケミストリー」と勝手に思っているのが、藤田誠教授(工学系研究科応用化学専攻)の研究です。藤田研から生み出される分子の造形美はもちろんの…

今回のキーワード:水素貯蔵

先日のエントリでも述べたように、水素は環境を汚染する廃棄物を出さない、クリーンなエネルギー源として期待される。しかし水素は最も軽い気体であり、同じ熱量を発するガソリンに比べて3000倍近いスペースを必要とする(常温、1気圧)。そこで、様々な水素…

第8回ZESTYネットワークセミナー

11日、第8回ZESTY ネットワークセミナーが開かれました(当セミナーについて詳細はこちら)。今までは理学部本館5階講堂にて開催されていましたが、現在工事中であるため、今回より小柴ホールでの開催となりました。 今回の演者は無機化学研究室(西原研究室…

 若手レクチャーシッププログラム

当拠点では、着任から4年目以降の若手教員を対象とした「若手海外レクチャーシッププログラム」を実施しています。これは、1〜2週間ほどかけて世界トップレベルの研究機関数カ所を巡りつつ自らの研究成果を講演し、多くの研究者とディスカッションを行うとい…

プレゼンあいうえお 〜尾嶋正治教授〜

さて先日のエントリで紹介した尾嶋正治教授ですが、教育方針に関するお話がまたとても面白かったので、こちらに別記事としてまとめさせていただきたいと思います。 尾嶋教授 尾嶋教授はホームページのプロフィールに「趣味は学生に奨励賞を取らせること」と…

燃料電池の新時代を切り開く 〜尾嶋研究室〜

今回は工学系研究科・応用化学専攻の尾嶋正治教授の研究室に伺いました。半導体を中心としたナノデバイスの開発、結晶成長、高輝度放射光を用いたそれらの測定技術の開発、燃料電池の触媒開発といったところが尾嶋教授の専門です。 窒化ガリウムやケイ素系な…

野崎京子教授、名古屋メダル受賞決定

野崎京子教授(工学系研究科・化学生命工学専攻)が、2009年名古屋メダル(シルバー)を受賞されることが決まりました。名古屋メダルは合成化学者を対象とした賞で、「国際的に偉大な業績を挙げている研究者」に対してゴールドメダルが、「今後の発展が期待…

中村栄一教授、ACS Cope Scholar Award受賞

当GCOEの拠点リーダーである中村栄一教授(理学系研究科・化学専攻)が、2010年のアメリカ化学会賞(2010 Arthur C. Cope Scholar Award)を受賞することになりました。同賞は有機化学分野において卓越した業績を挙げた研究者から、30代2名・40代4名・50代4…

 自己組織化カプセル分子 〜塩谷光彦研究室〜

さて今回は理学部の塩谷光彦教授のグループに話を伺うことになりました。先生の研究分野は「機能性を持った錯体を創る」というところにあり、研究室からは見た目にも美しい興味深い化合物が、続々と登場しています。 塩谷光彦教授 金属イオンは、化学の世界…

大学院入試のこと

8月末から9月初めにかけて、東京大学の大学院修士課程の入学試験が行われます。当拠点の理学系・工学系の化学4専攻でも、この時期に相前後して試験が進められます(願書は〆切済み)。 このブログの担当者(佐藤)は、今年4月から東京大学に籍を置くように…

化学経済8月号掲載

現在発売中の「化学経済」誌8月号においてグローバルCOE特集が組まれており、当拠点からも寄稿させていただいております。当拠点の研究・教育体制、今後の展望などについて詳しく述べておりますので、見かけたら手にとってご覧いただければ幸いです。

オープンキャンパス

8月6日、高校生のための東京大学オープンキャンパスが開催されました。理学部の化学教室でも研究室を開放し、高校生たちの見学を迎え入れました。理学部では合計約3300人、化学教室だけでも約640人が訪れるという盛況となりました。今回、このブログ担当者が…

フラーレンをベースとした有機太陽電池〜松尾研究室〜

Angewandte Chemie誌のEarly Viewに、当拠点の松尾豊特任教授・中村栄一教授の連名での論文が掲載されました。松尾先生は35歳、この4月に研究室を立ち上げたばかりの気鋭の研究者です。 松尾豊特任教授 松尾研究室は「光電変換化学講座」の名の通り、フラー…

夢・化学-21 一日体験実験教室

6歳から化学実験に取り組んでいたというRobert B. Woodward(1965年ノーベル化学賞受賞)の例を引くまでもなく、早い時期から化学の現場に触れることは、優れた化学者になるために重要なことです。そんな機会を作る試みの一つとして、「夢・化学-21」があり…

夏期学校開催

7月24・25日の両日、神奈川県葉山町の「湘南国際村」にて、夏季化学英語演習特別コース(Summer Intensive Course of Academic English for Chemistry in Shonan)が開催されました。当拠点では英語学習を重視し、博士課程・修士課程の学生を対象として英会話…

グリーン触媒と分子ふるい〜水野哲孝研究室〜

当GCOEの推進者の一人、水野哲孝教授の論文が、権威ある化学誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載されました(Angew. Chem. Int. Ed. Early View DOI: 10.1002/anie.200902681)。ここでは今回の論文と合わせ、水野教授の研究を簡単に紹介し…

第7回ZESTY NETWORKセミナー

21日、理学部化学本館5階講堂にて、「第7回ZESTY NETWORK(*)セミナー」が行われました。これは昨年度より開始された、ポスドク・若手教員・博士課程学生を対象とした英語による交流セミナーで、2ヶ月1度の割で開催されます。演者は自分の研究成果を20分間ほ…

こすると色の変わる液晶 〜加藤隆史研究室〜

近年、我々の生活に最も浸透した材料といえば液晶が挙げられます。携帯電話、大型テレビ、そしてあなたが今見ているであろうコンピュータのディスプレイなど、液晶技術は日本を支える基幹産業と呼んで全く差し支えないでしょう。 工学系研究科・化学生命工学…

化学教室の建物

当GCOEは理学系・工学系の4専攻から成っていますが、まず今回は理学系の化学教室の建物をご紹介。 化学教室は「化学東館」「化学本館」「化学西館」などいくつかの建物に分かれて入っています。このうち化学東館は1916年(大正5年)完成と、歴史的建築がひ…

グローバルCOE「理工連携による化学イノベーション」ブログスタート!

「物質とはなにかを極め、新しい物質を作りだす。」 この二面性は他の自然科学にはない化学の魅力です。そして理学から、工学、薬学、医学、農学、さらに産業技術にまで切れ目なく続く広がりを持つ学問が化学です。 近年、日本の化学研究は世界を先導する水…