夢の記録媒体への道を拓く 〜大越研究室〜

その昔、8インチフロッピーディスクなどというメディアがあったことなど、今や知っている人は少ないかもしれません。広げたハンカチほどのサイズがあるそれは、容量がわずか128キロバイトでしかありませんでした。現代のブルーレイディスクではこれよりずっ…

中村優希さんが「ロレアル−ユネスコ女性科学者日本奨励賞」を受賞

科学の各分野において女性の進出は目覚ましいものがあり、当GCOEでも多数の女性研究者が活躍しています。そんな中の一人、中村優希さん(理学系研究科化学専攻、中村研究室博士課程2年)がこのほど「ロレアル−ユネスコ女性科学者日本奨励賞」を受賞されまし…

オープンキャンパス・一日体験化学教室

夏といえばオープンキャンパスの季節ということで、ここ東京大学でも8月5日にオープンキャンパスが、8月9日に一日体験化学教室(日本化学会主催、工学部にて実施)が行われました。ふだんなかなか訪れる機会のない研究の現場が公開される貴重な日であり、高…

加藤隆史教授、高分子学会賞を受賞

本GCOEの推進者である加藤隆史教授(工学系研究科・化学生命工学専攻)が、平成21年度の高分子学会賞(科学部門)を「分子配列と相互作用の制御による機能性高分子集合体の創製」という題目で受賞されました。 加藤教授以前にも紹介した通り、加藤教授は液晶…

藤田誠教授、江崎玲於奈賞を受賞

先のエントリでも登場いただきました藤田誠教授(工学系研究科・応用化学専攻)が、第7回江崎玲於奈賞を受賞されました。 藤田誠教授この賞は、江崎玲於奈博士(1973年ノーベル物理学賞受賞)が理事長を務める茨城県科学技術振興財団およびつくばサイエンス…

 「創発」する分子 〜藤田誠研究室

自然界には、誰の手も加わっていないのに、複雑で美しいかたちが創り出されることがままあります。よく知られている代表的な例は、雪の結晶でしょう。雪粒を作っているのは単純な水の分子であり、ここには酸素原子に水素原子が2つついているという以上の情報…

第10回ZESTYセミナー

第10回ZESTYセミナー 6月2日、化学本館5階講堂にて、ZESTYセミナーが開催されました。このセミナーでは毎回ひとつのテーマに沿った発表者2名を選んで講演を行っており、今回は「Chemistry for Electronics」がテーマとして掲げられました。発表者は工学系研…

 水の新素材・アクアマテリアル誕生 〜相田研究室〜

「優れた研究」の基準というのは人によっていろいろであると思いますが、科学関係の物書きをしている身の筆者には、ひとつ明快な定義があります。「専門家以外の人にも、ひとことで説明できる研究であること」です。実際ノーベル賞級の仕事というのは、「電…

川島隆幸教授最終講義

春分を過ぎ、東大構内の桜もほころび始めました。研究室の引っ越し、卒業式など慌ただしい雰囲気に包まれ、春は別れの季節でもあることを実感させてくれます。そして当グローバルCOE推進者のひとりである川島隆幸教授も、この3月いっぱいで定年を迎えられ、3…

3月6日 ノーベル化学賞記念シンポジウム

3月6日、東大本郷キャンパス薬学講堂にて、「ノーベル化学賞記念シンポジウム 〜大型放射光を使って生体分子を見る〜」が開催されます。当日は2009年ノーベル化学賞を受賞されたAda E. Yonath教授をお招きし、受賞対象となったリボソームの構造解析について…

研究の今後

こうした研究がいったいどう役に立つのか?という質問はよくなされるところです。こうしたケイ素をたくさんつないでいくことで、新たな物性が期待できるかもしれない、あるいは高密度の枝分かれを持った新規物質の創製につながるかもしれない――といったこと…

セレンディピティ

実を言えば、この化合物は狙って合成されたものではありません。他の化合物の合成を目指している最中に偶然にできたもので、いわゆるセレンディピティ型の研究に当たります。三宅さんはもともと、全く別の化合物の合成を目指し、その中間体としてケイ素に負…

阿修羅結合

ところが、川島研で今回合成された化合物は、驚いたことに極めて安定であり、水や空気に触れてもびくともせず、100度以上での煮沸や、室温でブチルリチウムを作用させるといった過激な条件にさえ耐え抜きます。 この新規なケイ素-ケイ素結合に対し、川島研究…

マイナスとマイナスをくっつけた話

電気のプラスとマイナスは引き合うが、プラスとプラス、マイナスとマイナスははじき合う――これは小学生でも知っている、自然界の基本中の基本といっていい大原則です。モーターや発電機など、現代文明を支える機械も、この原理によって動いています。しかし…

1月19日・シンポジウム ”My Dream as a Professional”

1月19日、第3回グローバルCOEシンポジウム「My Dream as a Professional」が開催されました。各国から集まった留学生と、東京大学の学生たちが一堂に会し、それぞれの「夢」を語るというテーマです。また、東大で博士号を取得して活躍する先輩や、海外での研…

1月19日シンポジウム開催

来る1月19日(火)、理学部1号館小柴ホールにて第3回グローバルCOEシンポジウム「My Dream as a Professional」が開催されます。当日は各国から集まった留学生と東京大学の博士課程学生が、口頭発表およびパネルディスカッションの形で、それぞれの「夢」を…

日立一高見学

本日、茨城県立日立第一高校のみなさんが東京大学を見学に来られ、担当・佐藤が学内を案内いたしました。日立一高は「スーパーサイエンスハイスクール」に指定されており、その行事の一環としての見学とのことでした。 今回は学内の施設いくつかと、東大で行…

テロメアの化学

こうした「テロメアの化学」は、どう役に立つ可能性があるのでしょうか?ひとつには、ガンの新たな治療法に結びつく可能性があります。前述の通り、多くのガン細胞はテロメラーゼによって短くなったテロメアを伸長することで、いくらでも増殖できるように変…

テロメアの謎を追う

テロメア研究に対しては今年ノーベル賞が出されましたが、その謎解きがすっかり終わったわけではありません。分子レベルでテロメアの構造を読み解いて行くべく、小宮山研では徐岩特任助教を中心にパワフルに研究を進めています。 徐岩特任助教例えば小宮山研…

テロメアとガン

この「DNAのしっぽ」は、実のところ生物の運命を考える上で大変重要です。それはこのテロメアが、細胞増殖制御の鍵を握る存在であるからです。細胞分裂のたびにDNAは複製されますが、テロメア部分は全てはコピーされず、少しずつ短くなっていきます。テロメ…

小宮山研究室(2)〜化学の目で、テロメアの謎を解く〜

小宮山研究室では他にも魅力的な核酸の化学を展開しています。ひとつは、今年2009年、ノーベル医学生理学賞の対象となったテロメアの研究です。 小宮山眞教授 生物のDNAは、細胞核の中でただ長々とのたくっているわけではなく、ヒストンと呼ばれるタンパク質…

全国グローバルCOE140拠点による声明発表

去る12月3日、13時から東京大学・小柴ホールで、全国グローバルCOE140拠点による声明発表と記者会見が行われました。11月25日の「事業仕分け」において、グローバルCOEへの資金が1/3程度縮減という判定が下されたことを受けてのものです。 壇上には北海道か…

ノーベル賞・フィールズ賞受賞者による事業仕分けに対する緊急声明

本日、理学部1号館小柴ホールにて、「ノーベル賞・フィールズ賞受賞者による事業仕分けに対する緊急声明と科学技術予算をめぐる緊急討論会」が行われました。出席したのは小林誠(2008年ノーベル物理学賞)・野依良治(2001年ノーベル化学賞)・森重文(1990…

大越教授・日本IBM科学賞受賞

理学系研究科・化学専攻の大越慎一教授が、第23回IBM科学賞を受賞することになりました。「授賞対象者は、物理、化学、コンピューター・サイエンス、エレクトロニクスの基礎科学研究の幅広い分野で優れた活動を行っている、国内の大学あるいは公的研究機関に…

パイオニア・スピリット

この他にも核酸化学の分野で多くの業績を挙げている小宮山教授ですが、意外なことにこの分野に参入したのは40歳を過ぎてからで、しかも当時は研究する人が極めて少なかったということです。未知の分野だけに、自分の研究のオリジナリティはどの程度なのか、…

PNAを「つっかい棒」にする

前述のようにPNAは、相補的な配列を持つDNAと強く結合してハイブリッド二重鎖を形成し、これはDNA二重鎖に比べても安定です。つまり、適当な配列を持った2本のPNAを二重鎖DNAと混合すると、PNAはDNAの二重鎖をほどいて割り込み、つっかい棒のように二重らせ…

PNAの導入

「ペプチド核酸」(PNA)と呼ばれる化合物があります。ペプチド状のバックボーンに核酸塩基が枝のように生えた構造で、DNAやRNAとよく似た配置をとることが可能です。実際PNAは、相補的な塩基配列を持つ一本鎖DNA・RNAと、水素結合によって安定な二重鎖を形…

セリウムの発見

何とか「優しく」DNAの鎖を切る手法はないものか――。こうした加水分解反応には、しばしば各種の金属イオンが触媒となります。そこで小宮山教授のグループが数多くの金属を試した結果、行き当たったのはセリウム(IV)というイオンでした。驚くべきことに、セリ…

制限酵素とは

現在各分野でDNAの研究・応用が花盛りなのはご存じの通りです。この隆盛に、「制限酵素」が果たした役回りの大きさは計り知れません。制限酵素はDNAの4〜6塩基配列を認識し、その場所で二重鎖を切断します。制限酵素には多種多様なものが知られており、それ…

精確に、望んだ場所でDNAを斬る〜小宮山眞研究室〜

今回は小宮山眞教授の研究室にやって参りました。小宮山教授は当グローバルCOE推進者の中で唯一駒場キャンパスに本拠を構えており、担当者佐藤は初めての駒場行きとなりました。 小宮山眞教授 小宮山教授の専門は核酸化学で、主なテーマは以下の4つです。 (…